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有限会社 土遊野
人も家畜も支え合う有畜循環型複合有機農業
中山間地の里山で約1,000羽の鶏を平飼いし、その鶏糞をもとにつくった有機肥料を使って、水稲6ha、小麦2ha、飼料稲6ha、野菜30品目0.5ha他、育苗、そば等を、すべて化学肥料や農薬を使わずに栽培しています。
毎日500個ほど生み落とされる卵をはじめ、圃場からの収穫は、生協、契約店や個人宅へ販売する他、自家製天然酵母で発酵したパンやシフォンケーキ等の加工品を販売しています。くず米、くず麦、くず大豆等は、養鶏の飼料として使用。飼料米を主原料に、米ぬかや野菜残渣、魚粉やカキ殻等をあわせて自家配合した発酵飼料を餌として鶏に与え、鶏糞をもとに有機肥料をつくる循環型の農業を実践しています。
水力発電でエネルギー自給に挑戦、自然の循環の中で持続可能な暮らしを目指す
有畜循環型農業によって食料自給率を高める一方で、エネルギーの自給も試みています。
土川(どがわ)の上流から取水し、1kW 程度を出力するターゴインパルス水車による小規模な水力発電システムを構築。その排水でさらに上掛け水車を駆動させ、水力発電のシンボルとしました。2つあわせた発電量1,400Wをバッテリーにつなぎ、生活電力として利用しています。この試みは、自然エネルギーを有効に循環させる実証実験として注目されています。
このように、人も家畜も支え合いながら生きる有畜循環型自然農業を行いながら、エネルギー面も含めて、自然の循環の中で自給自足できる、持続可能な暮らしを実践しています。
里山をフィールドにした体験学習で、いのちの在り方を問いかける
土遊野では、田植え、稲刈り、いも堀り等の各種農業体験や、手づくりパン、手打ちそば体験、陶芸教室&窯焚き体験等を提供し、環境教育や食育の場として、実体験を通して学んでもらいます。
地元の小羽(こば)地区では、閉校になった小学校校舎を交流の場として活用する「NPO法人こば」を設立。自然ふれあい体験やそばまつり、山や竹林の整備、各種教室などの活動を行っています。
土遊野がある中山間地の里山は、生産の場でもあり、学ぶ場でもあり、問題提起できる場です。農場での様々な自然体験を通して、次世代を担う子どもたちが、命や食べ物、エネルギーについて遊びながら学んでいける環境教育に貢献しています。
実践ポイント
農業は土、風、光、いろんな恩恵を受けながら、自然と連携していかなければ成り立たない営みです。日々の暮らしの営み、そのものの積み重ねが農業であり、暮らしと密接な仕事であることを自覚して取り組んでいます。
今後の展開
農業研修やファームステイ、ウーフステイ(※)のホストとして、多くの若者を受け入れています。農業には、環境保全や文化の継承といった、経済論理だけでは計れない役割があります。土遊野に訪れる若者たちが、中山間地の豊かさ、確かさ、価値を再発見してくれることを望んでいます。
(※)ウーフステイとは農作業を手伝う代わりに食事と宿の提供を無償で受けること